卓話Speech
2025年1月31日(金)(第2729回)例会 No.21
多感覚ICTで高齢者が活躍できる
エイジフリー社会を目指してバックナンバー >
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- 愛知産業大学経営学部 学部長 総合経営学科 教授
- 石橋 豊様
日本では、団塊の世代が2025年に75歳以上となる「2025年問題」により、高齢者の医療・介護需要が急増することが懸念されています。高齢者が健康で自立した生活を送るためには、健康状態と要介護状態の中間に位置する「フレイル」(心身機能脆弱状態)の早期発見、予防、回復支援が不可欠です。本卓話では、多感覚ICT技術を活用してフレイル対策を実現するプロジェクト(知の拠点あいち重点研究プロジェクト「多感覚ICTを用いたフレイル予防・回復支援システムの研究開発」)を紹介しました。
プロジェクトでは、顔画像から瞬きや表情を解析する集中度判定システムや、高齢者の症状を健康、プレフレイル、フレイルに分類し、個別プログラムを作成するテーラーメイドシステム、顔認証で日々の状態を記録する予防・見守りシステムなど、7つのターゲットを設定し、身体的、精神的、社会的側面からフレイルに対応しています。
本卓話でが、これらのターゲットの中で、主に仮想書道システムとメタバースによる歩行支援システムを取り上げて説明しました。仮想書道システムは、触覚デバイスを用いて利用者が実際に筆で書いているかのような感覚を再現し、筆圧や接触ランプによる視覚的フィードバック、スコア付けを通じて上肢機能の検査やリハビリ、さらには書道技術の向上を支援します。メタバースによる歩行支援システムでは、ウェアラブルセンサと360度カメラ、CGを組み合わせた仮想公園内で安全に歩行訓練が行える仕組みを提供します。花の香りや小鳥のさえずりといった多感覚フィードバックにより、実際の散歩に近い体験が可能となり、またアバターを介した交流で社会的孤立の解消にも寄与します。
今後は、各システムのユーザビリティ調査や実証実験を通じ、技術の向上と実用化を進め、高齢者が楽しみながら自分に合ったペースでリハビリや訓練に取り組める環境が整備され、エイジフリー社会の実現に貢献したいと考えています。
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- ■例会場
- 名古屋マリオットアソシアホテル(17階)
金曜日 12:30~13:30