卓話Speech
2026年1月23日(金)(第2765回)例会 No.21
身近な「たまご」をもっと知って欲しい
〜ニッチな「たまご事業」のご紹介〜

- 三州食品グループ 代表取締役社長
- 岩月 顕司様
本日は名古屋みなとロータリーの会長、室原様にお誘いいただき、この場に参りました。まだまだ未熟な部分もありますが、どうかお聞きいただければと思います。
本日の題目は「身近な卵」です。卵はかつて「物価の優等生」と呼ばれておりましたが、最近の店頭価格は上昇傾向にあります。かつて100円台で購入できた卵が、現在では200円台後半、場合によっては300円台に達しています。この背景には、鳥インフルエンザによる供給減や、燃料費高騰などの原価上昇が影響しています。消費者にとっても、かつてのように気軽に購入できる存在ではなくなりつつあります。
次に自己紹介をさせていただきます。大学卒業後、大阪の江崎グリコ株式会社に入社し、約5年間勤務しました。その後、叔父が経営していた三州食品株式会社に入社し、2003年に代表取締役社長に就任しました。当時40歳でしたので、現在は社長就任22年目となります。
当社の企業理念は「ファームトゥテーブル」です。農場で生産された卵を加工し、消費者の手元まで届ける一貫生産が特徴です。一般的には養鶏場とパック工場のみを保有する企業が多い中、当社は農場から加工まで自社で行い、卵のプロフェッショナルとして、安全・安心・美味しさを届けることを目指しています。
事業構成について説明します。まず、養鶏場で殻付き卵を生産し、それを液卵として加工します。液卵とは、卵を割って殻を除いた状態のものです。また、鶏卵加工事業では、ゆで卵や温泉卵などの加工品を製造し、外食チェーンや牛丼チェーンなどに供給しています。当社の強みは品質保証、品質管理、商品開発、製造技術にあります。これらがブランド価値の基盤となり、多くのお客様に支持されています。
グループ会社は養鶏場経営を中心に展開しており、福井、京都、兵庫県などでM&Aを通じて拡大してきました。また、乾燥卵(粉末卵)の加工技術も保有しており、讃岐うどんや冷凍うどん、ハム・ソーセージなどの製造に応用されています。卵白粉末は、畜肉や他のタンパク質と結着するハイゲル製品として、大手メーカーに供給しています。
愛知県岡崎の養鶏場では62万羽を保有しており、グループ全体では約400万羽の鶏を飼育しています。国内最大規模の養鶏場は1,200万羽で、当社は全国で8番目の規模となります。加工事業では、液卵はマヨネーズ、アイスクリーム、ケーキの原料として大手メーカーに供給しています。鶏卵加工事業では、ゆで卵や温泉卵を外食やコンビニ向けに提供しています。
製菓OEM事業では、東京ばななの委託生産を静岡の工場で行い、包装まで仕上げて東京に供給しています。粉末卵事業では、全卵、卵黄、卵白粉末を海外で生産し、日本に輸入しています。液卵加工では、毎日200〜250万個を割卵し、業務用や小分け包装でケーキ屋や製菓メーカー向けに提供しています。
使用例としては、冷凍食品の餃子やチャーハン、アイスクリーム、外食チェーンでの卵トッピング、コンビニおにぎりやスフレチーズケーキの原料など幅広く活用されています。セブンイレブンでは、常温で腐敗しない卵醤油おにぎりの卵部分を当社が供給しています。ゆで卵については、硬さや卵黄の柔らかさを工業的に安定させて生産可能で、外食チェーンのラーメンやうどん、銀だこなどに供給しています。
粉末卵の需要は、海外委託生産によるコスト削減や安定供給に支えられています。また、マヨネーズのカロリーハーフ製造では卵黄から脂肪分を取り除く事も特許を取りながら行っています。東京ばななの静岡工場では、ウォルトディズニーの監査をクリアし、品質管理が徹底されています。事故も今のところ一度も起こしておりません。
鶏卵相場は、鳥インフルエンザ、飼料高騰、円安、人件費・エネルギー・配送費高騰などの影響により上昇しています。2020年には150円程度だった卵価格が、現在では345円前後まで高騰しています。国内の卵生産量は258万トンで、輸入は全体の約4%です。
米に匹敵する自給率の高さとなっております。
2022年には鳥インフルエンザで1,654万羽が殺処分されました。今年も10月以降に13件の事例があり、410万羽が処分されています。卵は孵化から産卵まで約130日かかるため、供給回復には時間を要します。
環境への取り組みについても説明します。製パンメーカーと協力して、廃棄パンを飼料に混ぜ、再び卵として加工・供給するリサイクルループを実施しています。また、卵殻も粉砕してガラス製品などに再利用しています。卵殻膜には栄養成分が含まれており、化粧品や保湿剤に活用されています。
最後に私から会社成長にかける思いを、経営者目線で聞いていただければと思います。私が心がけてきたことは、まず自ら業界に精通することです。現場論中心の考え方が強いので、自分で底辺まで動いて体験し、状況を細かくインプットし、それを全体の市場規模や利益構成と照らして俯瞰して考えてきました。同業他社と同じことをやると単価競争に陥るので、参入障壁を高くして簡単に真似できない事業モデルを作ることが長年の思いでした。事業の複合的なシナジーで全体を強化し、個人の力量を組織化して回る仕組みを作ることにも注力しました。社長の経営能力やバランス感覚、人間性と冷徹さの両立も重要だと考えています。会社は社長の器で決まるので、自分の器を広げることが成長につながります。
社歴が62年で私が就任した時の売上74億から、現在グループは400億を超え、困難な状況も多くありましたが、組織力の醸成がいかに重要かを改めて実感しています。本日はご清聴ありがとうございました。

国際ロータリー第2760地区 名古屋みなとロータリークラブ
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金曜日 12:30~13:30



