卓話Speech
2026年2月27日(金)(第2768回)例会 No.24
性暴力が生む悲劇 ~魂の殺人~

- 名古屋掖済会病院 救急外来看護師
- 間瀬 直美さん
当院は愛知県に2つしかない性暴力被害者支援センターと連携し、初期対応・コーディネートを行う連携センターに指定されています。性暴力被害者を第一に考えた対応を実践するため、全国に132名、愛知県には34名しかいない日本版性暴力対応看護師を取得しました。救急外来にきた性暴力被害者を早期発見・救出することは、私が、連携センターである当院の救急外来に所属する意義だと思っています。
年々、性暴力被害報告数は上昇傾向にあります。一昨年、某芸能事務所での男性の性暴力被害が明らかになったことをきっかけに、男性からの被害相談が例年の約3倍になったそうです。しかしその一方で、日本での性被害に対する刑罰は軽視されている傾向にあります。そのため、某芸能事務所の男性被害者達は、より刑罰の重い米国で控訴しました。
当院にも、性被害やDVに遭われた方が来院され対応に当たっています。その対応は迅速かつ繊細さを求められ、医師・心理士・相談員・警察などあらゆる職種との連携を要します。被害者の背景や実情は様々ですが、共通しているのは、被害当時には全貌をみることができない精神的な傷です。その傷には個人差がありますが、フラッシュバックにより被害時の記憶が鮮明に現れたり、無気力になり自らの意思とは裏腹に身体が動かなかったりと、被害前の生活に戻るには長期の精神的支援を要します。長期に渡る精神的支援は被害者本人のみならず、その家族にも負担が生じることとなります。「たかが数分の被害。でもその数分が被害者の人生自体を狂わす」これが、「性暴力がうむ悲劇」です。そして、性暴力が「魂の殺人」と呼ばれる理由です。
そもそも、性暴力被害を打ち明けることは並大抵のことではない為、支援に繋げられているのは極一部であると言われています。そして、支援を受けているからといって、その支援が十分であるとは言えないのが実情です。適切な支援を受けられず、自殺企図を引き起こすことは珍しいことではありません。
日本は、性暴力に関してはまだまだ発展途上国で、大切なのは、加害者にも被害者にもならない国になることだと考えます。その為には、幼いころから包括性教育を受けることが必要だと思います。男性も女性も子どもも安心して暮らせる日本になることを目標に私はこれからも活動を続けたいと思います。
今回のことで性暴力に対し、少しでもご理解いただき、性暴力被害者への継続的な支援をよろしくお願いします。
貴重な機会にお招きいただき、誠にありがとうございました。

国際ロータリー第2760地区 名古屋みなとロータリークラブ
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