卓話Speech
2025年2月7日(金)(第2730回)例会 No.22
軍事技術の医学的転用バックナンバー >

- かいせい病院 院長
- 菅 栄様
携帯電話、デジタルカメラ、電子レンジ、カーナビ、ルンバ、缶詰、インスタントコーヒー、など多くの軍事技術を転用して生まれた生活必需品がまわりにあふれています。医学の領域でも軍事技術の転用によって現在の医療に欠くことできない検査、治療医療機器が多く存在します。今回は超音波・体外衝撃波・ロボット支援下手術についてお話したいと思います。
健診などで超音波の腹部エコー検査を受けられた方は多くいられると思いますが、他にも心臓、血管や婦人科領域等で使用されています。また超音波の振動、温熱効果により血流改善・疼痛の緩和など骨折治癒の促進目的に診療で使用されています。もともとは第2次世界大戦での駆逐艦の潜水艦探知として開発された技術からの転用です。
次に体外衝撃波ですが、もとは潜水艦攻撃の武器です。第2次世界大戦中ナチス軍が研究開発した技術で敵潜水艦に衝撃波を当てて乗務員のみを殺傷し潜水艦を強奪する兵器として開発を目論むも失敗に終わり医療に転用し現在の医療に利用されています。尿路結石の破砕療法「体外衝撃波破砕療法術」は現在尿路結石のスタンダード治療法となっています。会員の方でも経験されたことがある方がお見えになるんじゃないかと思います。衝撃波は超音波と同様に骨折の治癒促進、難治性腱症、野球肘、テニス肘に医療応用されています。
次にロボット支援下手術です。今後、掖済会病院副院長加藤先生からの卓話の予定があるとのことですので詳しくはお話ししませんが、ロボット支援手術はアメリカ国防省の支援で行われ、湾岸戦争での最前線でトリアージされ、医療班のトラックに収容された負傷兵が重篤になる前に出来るだけ早く現場近くで治療を開始することが目的で、アメリカ本土、または空母や後方病院から手術支援ロボットを遠隔操作し、負傷者を救命することを目的で開発された技術の臨床応用です。事実今後、高速大容量通信や移動通信システム5G、6Gの開発、光通信ネットワーク拡充等により遠隔ロボット支援下手術が可能な時代を迎えています。我が国での医師の地域偏在や若手外科医師不足などの社会的問題化する中、外科医療の均てん化を図る方法として期待されています。現在のロボット支援下手術は術者の手の動きをコンピュータ処理して、関節を有するロボットアームと鉗子先端にワイヤー駆動で伝えることで、小さな穴から挿入されたロボット鉗子先端に手や指の細かな動きを再現するもので、ロボット鉗子が自立した動きを示すものではありませんが、今後AIなどの技術の進化により完全自動手術の時代が到来することも夢ではありません。
軍事技術とは「人を殺傷する目的にするものである一方、その応用により人を救命する手段ともなる。」今後は平和的目的がファーストの技術が進化発展を望ましいですが、現在の世界情勢を見れば難しいようです。
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