名古屋みなとロータリークラブ

卓話Speech

2025年10月24日(金)(第2756回)例会 No.12

天上天下唯我独尊

栄 和人様
荒子観音寺元住職 名古屋栄ロータリークラブ
日置 教康

皆さん、こんにちは。室原会長から講演を頼まれて1年以上悩み、眠れない日もありました。今日は終わったらゆっくり寝たいと思います。

私は普段「能面住職」と呼ばれていますが、今日は肩書を外して話します。

さて、私の服装ですが、これは「道服」といって普段着る僧侶の服です。法事などでは色衣に着替え、一番偉いのは紫なのですが、そして袈裟をつけます。今つけているのは「輪袈裟」で、輪になっていますので「わげさ」と言います。菊の紋は16。天皇陛下は17です。数珠は180玉で、108個の煩悩を消す意味があります。赤い扇子は「朱扇」と呼ばれ、行事で使う小道具です。カンニングペーパーのように文言が書かれています。

室原会長とは和合ゴルフクラブで知り合い、長年の付き合いです。見た目は怖いですが、実はとても優しい方で、酒の強さも同じくらい。ゴルフの腕前はCクラスで、室原会長はヘッポコショット、私はシャンクショットが得意です。趣味は映画鑑賞で、今年は68本観ました。

次に、お寺の歴史と自己紹介に移ります。荒子観音寺は729年に開祖され、741年に伽藍が完成しました。1536年には多宝塔が再建され、住職は祖父・父・私と三代続き、最近長男に継承しました。

祖父は、織田信長と豊臣秀吉をとても嫌っていました。理由は、信長が1571年に比叡山を焼き討ちし、天台宗の大きな寺院を次々と焼いたことです。中でも驚くのは、遠く東北の中尊寺まで焼き討ちしたという話です。中尊寺には僧兵もいたため、信長は大軍で攻めたと考えられます。信長はそれほど過激な人物だったということです。

1571年、前田利家公が府中へ向かった際、地元の人々にとても惜しまれました。利家公の屋敷は荒子観音寺のすぐ近くにありました。利家の父が当寺の事務職を務めていたことから、当寺は前田家の菩提寺となりました。利家公は寺の塔を馬で見に来たこともあるそうです。

豊臣秀吉は1584年に「太閤検地」を行い、全国の土地を調査して再配分しました。荒子観音寺も例外ではなく、当時約30町(約900m四方)の広大な土地を所有していましたが、検地の結果、2700坪に縮小されました。現在の境内地は3200坪ほどですが、かつての田畑や寺領地の多くを失いました

その後、家康が天下を取り、名古屋城を築城。城の防衛のため、荒子観音寺を含む尾張四観音に土地を与え、海からの敵を監視する役割を担わせました。寺は防衛拠点として機能し、家康によって復興されたことから、家康を深く尊敬しています。私や父の名前にも「家康」に由来する字が使われているほどです。

私は昭和28年、名古屋市南区の市民病院で生まれました。母が檀家や資金が少ない中で荒子保育園を始め、私はその園で育ちました。学歴は荒子小、一柳中、松陰高を経て、愛知大学豊橋校舎へ進学。高校時代は勉強せず、担任に「滑る」と言われましたが、試験中に学生運動の演説が始まり、逆に集中できて現役合格しました。大学ではユースホステルクラブに所属しました。その後、保育園に栄養士が必要となり、栄養専門学校に2年通って資格を取得。24歳で園長になり、40歳頃に退任。理由は、保育園よりも寺の活動が忙しくなったためです。

私は36歳からゴルフを始め、現在72歳なので人生の半分をゴルフに費やしてきました。20年ほど前は特に熱心に取り組み、ゴルフクラブで女子プロと一緒にラウンドする機会があり、飛距離もほぼ同じで張り合えました。その経験をきっかけにクラブ選手権に挑戦。出場資格もギリギリでしたが、3日間のストロークプレーを全力で戦い抜きました。結果は優勝ではありませんでしたが、クラブチャンピオンになった友人と一緒にプレーできたことは良い思い出です。

自己紹介に続いて、人生の節目についての考えをお話しします。まず結婚式は派手にせず、控えめに。いつ別れるか分からないからです。一方、葬式は一度きりなので、ぜひ派手に行ってください。家族葬では伝わらないことも多く、長男の方は特に「監督・ディレクター」としてしっかり仕切ってください。葬儀屋をうまく使って、立派な式にしてほしいです。通夜は、葬儀屋が通夜式と言うこともありますが、「式」ではなく、夜通し故人を偲ぶ時間です。「地獄がある」と思う人は少ないですが、あると信じることで悪いことを避け、極楽に行けると私は思います。仏教徒は「天国」ではなく「極楽」を目指します。先祖が待っていて、宴会で迎えてくれるような場所です。

「どっこいしょ」の語源は仏教の言葉「六根清浄(ろっこんしょうじょう)」です。これは視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚・意識の六つの感覚を清めるという意味で、修験者が山を歩きながら唱えていた言葉です。それを農民たちが「どっこいしょ」と聞き間違えたことから、今の掛け声になったと言われています。誰かが「どっこいしょ」と言ったら、「それ、六根清浄ですよ」と教えてあげてくださいね。

最後に「天上天下唯我独尊」という言葉を紹介します。これは、天地自然の中でたった一人のかけがえのない尊い自分に目覚めよ。命の大切さを自覚し、誇りを持って生きようという意味です。拙い話を最後まで聞いてくださり、ありがとうございました。

名古屋みなとロータリークラブ

国際ロータリー第2760地区 名古屋みなとロータリークラブ

■事務局
〒460-0008 名古屋市中区栄2丁目13番1号
名古屋パークプレイス3F
株式会社マイ.ビジネスサービス.内
tel:052-221-7020 fax:052-221-7023
■例会場
名古屋マリオットアソシアホテル(17階)
金曜日 12:30~13:30